いのちの海とサンゴ礁を守れ 辺野古新基地建設に反対する NGO 緊急共同声明 〜日本政府は沖縄の民意に耳を傾け、作業の中止を〜  辺野古・大浦湾に広がる長い年月をかけて形成された美しいサンゴ礁と青い海。マグローブ林、干潟、海草藻場、砂場、泥場、サンゴ礁が連続し、やんばるの森から流れ込む河川により、豊かな海洋生態系が作りあげられています。最近発見された規模の大きなアオサンゴ群集や、日本では絶滅のおそれが最も高い哺乳類であるジュゴン(環境省、絶危惧 IA 類)が生息するなど、たいへん生物多様性に豊む沿岸域です。沖縄県の自然環境の保全に関する指針では、辺野古・大浦湾海域は、評価ランク I の「自然環境の厳正な保護を図る区域」とされています。また、環境省の「ラムサール条約湿地潜在候補地」のひとつに選定され、「生物多様性保全をするうえで重要度の高い海域」のひとつとしても検討されています。さらに、この地域は、確認されているだけでも、絶滅危惧種 262 種を含む 5,300 種以上の海洋生物の生息地でもあります。  いまこの豊かな海を破壊し、辺野古の新基地建設が強行されています。昨年の名護市長選、名護市議選、沖縄県知事選、衆議院選では、新基地建設反対を 唱えた候補者が選ばれました。沖縄の方々の「辺野古に新基地は要らない」という意思は、選挙によって明確に示されたのです。  しかし、安倍総理大臣は、新基地反対を唱え、沖縄の民意を背負って当選した翁長沖縄県知事に会おうともしません。これは民主主義を標榜する一国の首相の態度として到底、許されるものではありません。県知事は作業の一時中止を求めているのに、まったく無視されてしまっています。  沖縄県には日本の米軍専用基地の 74 パーセントが集中し、沖縄島はその面積の 18 パーセントが米軍基地で占有されています。このような沖縄における状況は、日本国憲法が保障する住民の権利を無視するものです。このように環境、人権、平和が尊重されていないなか、再び民意を無視する形で新基地建設が進むことは大きな問題です。  いま、辺野古の海では、「ボーリング調査」が 3 月 12 日に再開され、政府は8月には本体の埋立工事を行うとしています。巨大なコンクリートブロックが海底に投下され、サンゴや海草等を押しつぶし、豊かなサンゴ礁生態系に影響を与えている状況が観察されています。また、調査のために必要だと称して、幅最大 25m、長さ 300m の巨大な「仮設岸壁」を建設する作業が着々と進んでいます。そのため、昨年 9 月以来、ジュゴンが餌場として利用していない状況です。  現地の辺野古では、沖縄各地から、日本各地から、たくさんの一般の市民たちが辺野古の海を守るために集まり、あるいは海で、あるいはキャンプ・シュワブのゲート前で体を張って抗議行動を続けています。  私たちは、辺野古・大浦湾のかけがえのない生物多様性を守るため、また沖縄で示された民意を踏まえ、沖縄県名護市の辺野古新基地に強く反対するとともに、日米両政府に対して、新基地建設計画に伴う作業の中止を求めます。