活動報告

  • 砂浜連続シンポ ~鎌倉・三河・奄美大島~ 奄美大島 編

20180630奄美大島1

20180630奄美大島1

まだまだ知られていない”砂浜生態系”に注目し、鎌倉・三河・奄美大島で連続シンポジウムを開催しています。

第1回の鎌倉編を、6月17日(日)に鎌倉市で開きましたが、その後引き続いて6月30日(土)に、奄美大島奄美市名瀬公民館で、第2回奄美大島編を開催しました。

「森川海のつながりの大切さを見直し、世界自然遺産登録を目指すシンポジウム in 奄美大島」と題して行われたシンポジウムでしたが、前日になって突然出現した台風7号の影響もあって、参加者はやや少なめでした。

講演は、第一部:森川海のつながりと生物多様性として
1)向井 宏 「森川海のつながりの大切さについて ~各地の事例から見えること~」
2)藤田喜久「エビ・カニの生息場所から見た海辺の環境」
3)安部真理子「世界自然遺産登録延期について~奄美大島各地での事例を見ながら~」
4)薗 博明「今後の世界自然遺産についてのあり方」
と、各氏の話が続き、休憩のあと、第二部:地元の取り組み として、
1)住用町の森さんから「採石場と海」、2)田原さんらから「瀬戸内町クルーズ船」、ジョン高木さんから「嘉徳海岸護岸工事」の報告や問いかけがありました。

短い討論の時間でしたが、熱気に溢れた人たちの意見表明が続きました。

問題山積の奄美大島、世界自然遺産への登録が延期・取り下げになり、島の自然を守るためにはむしろよかったという意見が複数出されるなど、島の自然への熱い思いが吐露されました。
(うみひるもNo.222)

  • 海岸生物観察会 in 和賀江島 雨に降られず実施

20180616鎌倉1

20180616鎌倉1

20180616鎌倉2

20180616鎌倉2

20180616鎌倉3

オトヒメゴカイを採集し得意なヒカル君

2018年6月16日(土)に神奈川県材木座海岸和賀江島で、海の生き物観察会を開催しました。

前日までの雨で開催が心配されましたが、開始時間の午前10時には、雨の心配もほぼなくなり、親子連れを含む30人を超える参加者が集まり、諸注意を聞いた後、それぞれ良くひいた海岸へと向い、約1時間さまざまな生き物を追いかけ、石の下を探し、楽しく過ごしました。

昼食後、みんなで採集した生き物を持ち寄り、海藻類については、(株)自然環境調査の田所悟さん、多毛類(ゴカイ類)については、鹿児島大学の佐藤正典さん、その他の生き物については、海の生き物を守る会の向井 宏が解説・同定して、学習しました。

今回採集の目玉は、5歳児が採集したオトヒメゴカイ

ここ材木座海岸の和賀江島が原記載の場所で、ごく最近、オトヒメゴカイ類に3種類が区別されることが報告されたばかり。

採集されたのはその原記載にあたる種類だった。

佐藤さんは、このオトヒメゴカイを採集してみんなに見せようと、集合時間ギリギリまで頑張って採集を試みたにもかかわらず、採集できず、少々落胆しながら帰ってきたところ、子どもが採集してきた事を知り小躍りして喜んだ。

その様を見てみんながまた大喜び。多勢の目で見る観察会の利点が現れたことでした。

この観察会は、海の生き物を守る会・東京経済大学大久保研究室・鎌倉の海を守る会の共催で行われました。

とくに、地元鎌倉の海を守る会の方々には、たいへんお世話になりました。ありがとうございました。

(うみひるもNo.222)

  • 晴天の砂浜=表浜で砂浜海岸生物調査研修会・観察会を実施

20180520表浜1

20180520表浜1

20180520表浜2

20180520表浜2

20180520表浜3

20180520表浜3

20180520表浜4

20180520表浜4

2018年5月20日(日)、愛知県豊橋市表浜の小島海岸で、砂浜海岸生物調査の研修会兼観察会を、NPO 表浜ネットワーク(代表 田中雄二氏)との共催で行いました。

当日は、10時に表浜まるごと博物館に集合。

参加者は午後から急遽参加した家族を含めて20名。そのうち半数が子どもたち。高校生も4人が参加。

当初の天気予報では雨が心配されたのですが、写真に見るように抜けるような青空。風は少し強かったのですが、前日の大風に比べるとウソのように風もおさまり、絶好の観察会日和でした。

日曜日ということもあって表浜はサーファーが無数に波乗りを楽しんでいました。この浜では、貝も波乗りをします。波乗り貝といわれるフジノハナガイが、打ち寄せる波に乗って砂浜を駆け上がり、砂に素早く潜り込むようすが観察されました。

ナミノコの殻を拾った子どももいました。

前日の強い風が北西の風だったこともあり、沖合からの漂着生物はほとんど見つかりませんでしたが、それでもミナミスナガニを捕まえたり、キンセンガニの新鮮な死亡個体を見つけたりと、参加者は広々とした表浜を楽しみました。

後背地の海浜植物帯では、ハマボウフウ、ハマヒルガオ、ハマエンドウなどが花盛りです。

海の香を胸一杯に吸いながら、お弁当を広げ、午後からは表浜まるごと博物館に戻り、採集した貝殻など海の生き物を同定しました。

子どもたちもとても熱心で、同定作業もはかどり、終了後は、表浜を含めたこの地方の自然の情報交換や交流を、お茶を飲みながら時間まで楽しみました。

(うみひるもNo.221)

  • 吉野川河口干潟で観察会を実施

20180429徳島1

20180429徳島1

20180429徳島2

20180429徳島2

20180429徳島3

20180429徳島3

20180429徳島4

徳島新聞 2018.4.30

昨年に引き続き、2018年も4月29日(日)、四国吉野川の河口干潟で海の生き物の観察会を行いました。

参加者は80名を超える盛況でした。五月晴れの下、家族連れなど多くの参加者が春の海辺で生き物の観察を楽しみました。

この干潟には、砂干潟や泥干潟、長い砂州、樹木も茂る中州など様々な環境がありますが、この時期には泥干潟にシギ・チドリを中心に多くの鳥たちが集まって餌を食べていることが多いので、泥干潟には立ち入らないように注意し、主に砂干潟を中心に観察・採集をしました。

沖合には河口を横切る高速道路の橋脚が多数姿を現し、反対の声が上がる中でも、着々と工事が進んでいる様子を見ることができました。

最後に採集した生きものを持ち寄り、生き物調べを行い、モクズガニ、コブシガニ、ヤドカリの子どもたち、モミジガイ、ツメタガイ、チロリ、イトメ、ホシムシ、アマクサアメフラシなどが生きたまま観察でき、子どもたちも大喜びでした。

観察会のようすは、翌日の徳島新聞、朝日新聞に記事が載りました。

(うみひるもNo.220)

 

  • 海の生き物を守るフォーラム2018 in 東京

「海の自然をどう守るか~取り組みと成果~」

20180217東京1

20180217東京1


20180217東京2

20180217東京2

2018年2月17日に以下の通り「海の生き物を守るフォーラム 2018」を行いました。

司会は日本自然保護協会の志村智子さんで進められました。

参加者は少なめでしたが、内容の濃い発表が続き、参加した方々から好評をいただきました。
日時:2018年2月17日(土)13:00~16:00
場所:東京都中央区環境情報センター
共催:海の生き物を守る会、日本自然保護協会、ラムサールネットワーク日本
 
<プログラム>
1.開会挨拶および趣旨説明 向井 宏
2.「葛西三枚洲 ラムサール条約登録」 飯田陳也
3.「嘉徳海岸 奄美の砂浜の生物多様性と護岸計画の現状」 安部真理子・志村智子
4.「上関海域 まるごと博物館の活動を通して奇跡の海を守る」 向井 宏
5.「江奈湾干潟NPOの取り組み」 横山耕作
6.「辺野古・大浦湾 生物多様性豊かな辺野古の海の現状」 安部真理子
7.閉会挨拶 志村智子
(うみひるもNo.215)

 

  • アカテガニの出産(放仔)観察会 in 長島田ノ浦

20170722上関

アカテガニについて のレクチャーを聴く参加者たち(「上関まるごと博物館」予定の民家にて

2017年7月22日(土)に今年も山口県上関町で、「アカテガニの出産(放仔)観察会」を行いました。上関の自然を守る会と共催です。

参加者は、関東から下関までの各地から24名。場所は、上関原発の建設予定地である長島田ノ浦です。

陸に棲むアカテガニやクロベンケイガニが、この時期の大潮満潮のときに海へ降りてきてお腹に抱えた幼生を海へ放出する様子を観察しました。

今年は、例年と異なり、田ノ浦へのアプローチは船としました。陸からの小径は、草が生い茂り、道の状態も悪いため、夜の移動は危険があると判断したためです。

当日、午前10時から上関室津の「上関まるごと博物館」として改修予定の民家に集合。向井代表によるアカテガニとその生態・環境についての講義を聴き、上関の自然を守る会の活動をDVDで観賞した後、昼食。全員が5隻の漁船に分乗し、田ノ浦に向かう。田ノ浦では、カサシャミセンやヤシマイシン近似種などの希少な生物が見つかっているタイドプールで、新種の生きものはいないかと、みんなでワイワイ言いながら観察した。

その後、また船に分乗し、近くの砂浜(自然海岸)に移動し、まずは暑い思いを解消するために海に飛び込み。シュノーケリングで多くの魚や貝や海藻を直接に観察。お腹を空かせて漁師さんたちが用意してくれた新鮮なお魚のバーベキューを全員で楽しみ、日が暮れるのを待って、再び田ノ浦へ移動。

日が暮れて満潮になるとお腹に子どもを抱えたアカテガニが続々と海岸に降りてくる。懐中電灯の灯りを頼りに、アカテガニの行動を思い思いに追う。アカテガニが身体を震わせて幼生を放出する度に、参加者らの歓声が上がる。しっかり観察した後、真夜中のクルーズを楽しんで、室津へ帰った。

その日は、「上関まるごと博物館」予定の民家に全員で宿泊。翌日は、向井保子氏を講師に、海藻おしば(押し藻)の講習会を開き、押し藻のやり方を学び、最初の過程を楽しく実体験した。

主要な準備を担当していただいた上関の自然を守る会の高島美登里・三家本誠ご夫妻と、「上関まるごと博物館」の管理人(予定)の上田健悟氏に感謝します。

また、上関の水軍祭りの当日にもかかわらず、ご協力い ただき、美味しいお魚を大量に用意していただいた上関の漁師のみなさんにも心から感謝します。

(うみひるもNo.203)

  • 「小坪海岸102」を発行

小坪201

小坪201

海の生き物を守る会では、昨年行った神奈川県小坪海岸での観察会の結果を小冊子「小坪海岸102」にまとめて刊行した。

冊子には、オリンピックのために開発されようとしている小坪海岸の自然と人々の生活を記載し、さらに昨年の観察会によって発見された102種の海の生き物のリストを掲げ、さらに主要な生きものの写真を掲載している。

編集は、会員の大久保奈弥さん。

希望者には本冊子を進呈しますので、お知らせ下さい。なお、申し訳ありませんが、送料をご負担願います。

(うみひるもNo.201)

  • 絶滅危惧種が6種も 奄美大島嘉徳海岸で海岸生物調査を実施

20170611奄美大島1

南海日日新聞

2017年6月11日、奄美大島の嘉徳海岸(鹿児島県大島郡瀬戸内町)で、海岸生物調査と観察会を行いました。

この砂浜調査と観察会は、日本自然保護協会との共催で、自然と文化を守る奄美会議に後援していただきました。

20170611奄美大島2

三々五々、砂浜で生きものを探す参加者たち

嘉徳海岸は、奄美大島で唯一集落の前に護岸がない自然海岸です。しかしそこでは、現在コンクリート護岸を作る計画が進んでいました。

参加者は、16名。スタッフ5名とともに、砂浜の様子や、生きものの観察・採集、海浜植物の観察を行いました。

採集したものは、嘉徳集会所で観察・同定を行い、合計70種におよぶ生物が観察されました。

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嘉徳集会所で採集物の同定や観察をする参加者。参加した中学生のピアノ演奏に感動

集会所では、参加した中学生がピアノの演奏を披露するなど、なごやかで楽しいひとときを過ごしました。

この日は、砂浜に生息・生育している動植物の調査を行い、漂着した動物の遺骸についても調査した。貝類については、山下博由氏(貝類多様性研究所)が同定を指導した。

貝類 貝類については、一部生息しているものを含め、漂着している殻を中心に調査を行った。その結果、60種以上が見いだされ、そのうちレッドデータ種6種が発見された。ナガタママキ(絶滅危惧Ⅰ類)、ホシヤマナミノコザラ、トウカイタママキ(絶滅危惧Ⅱ類)、タイワンキサゴ、ナミノコガイ、キュウシュウナミノコ(準絶滅危惧)の6種の絶滅のおそれのある貝類が確認された(括弧内は環境省レッドリストの評価)。これらは細砂の砂浜・浅海底に生息する種で、いずれの種も琉球列島での生息地はごく少ない。ナミノコガイは、古い殻しか確認されず、現在は生息していないと思われるが、今後精査が必要である。
海浜植物 今回の調査では、嘉徳海岸の海浜植物帯には、アダンの海岸林が形成されており、その下部および前面には、グンバイヒルガオ、ハマゴウ、コマツヨイグサ、クロイワザサ、ハマアカザ、ハマユウ、シロバナセンダングサ、キダチハマグルマが生育している。とくに、今回注目すべきは、回復した砂の斜面でグンバイヒルガオが定着し、砂の固定や流出を食い止める機能を果たしつつあることで、少なくとも数ヶ月以上、砂が安定していることを示している。

  • シンポジウム「奄美の森と海のつながり」を奄美市で開催

20170610奄美大島1

熱心に講演を聴く参加者たち

2017年6月10日、奄美市名瀬公民館金久分館において、海の生き物を守る会と自然と文化を守る奄美会議の共催で、シンポジウム「奄美の森と海のつながり~水と砂の流れを考える~」が行われました。

奄美大島は、徳之島、沖縄島北部、西表島とともに、世界自然遺産への登録に向けて働きかけが行われていますが、世界自然遺産には、海が軽視されています。

しかし、海と森は密接なつながりを持っています。このシンポは、奄美大島の自然を作り上げる川や海など水が作用する場所に焦点をあてて議論し、現在の奄美大島の実情が世界自然遺産にふさわしいのか、という問いかけがなされました。

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採石場から流出する土砂と濁水を持ち込んで訴える市集落の榮さん

また、現地からの報告は、護岸建設が計画されている南部で残された唯一の自然海岸である嘉徳海岸と採石場からの赤土の流入に泣かされている市集落からの報告は、切実なものがありました。

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奄美新聞2017.6.8

参加者は、予想よりも少なく30名程度でしたが、活発な意見交換も行われました。しかし、世界自然遺産に島の人々はあまり関心を持っていないように思われました。

今後、IUCN(国際自然保護連合)による現地調査が行われますが、沖縄島とともに奄美大島の森と海を国際的に守っていくために、今後の取り組みが求められています。

このシンポは、日本自然保護協会に後援していただきました。

なお、このシンポジウムは、牧口光彦さんのご厚意で、CDに収録してあります。CDをご希望の方は、事務局までお知らせください。

6月22日には、奄美テレビが、このシンポジウム講演内容を1時間番組として放送しました。

20170610奄美大島4

南海日日新聞2017.6.12


20170610奄美大島5

奄美新聞2017.6.12

  • 鎌倉市材木座海岸で砂浜海岸生物調査研修会を実施

20170527鎌倉1

20170527鎌倉1

2017年5月27日(土)に鎌倉市の材木座海岸の砂浜で、海岸生物調査の研修会を行いました。

心配した雨も降らず、雲ひとつ無い快晴となり、材木座海岸からは、富士山がみごとに望めました。

親子連れも含めて24名(他スタッフ4名)の参加がありました。

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砂浜と磯の境界あたりで、海の生き物を観察する参加者たち

材木座海岸の北端は、かつての貿易港&人工島「和賀江島」があったところで、昔の和賀江島の名残の岩が砂浜とは異なる環境を提供しており、砂浜海岸生物調査は、同時に磯の生物観察を兼ねることになりました。

お陰で多くの生き物が観察でき、参加者も大喜び。久しぶりの海遊びを楽しみました。採集した後は、近くの光明寺へ移動。本堂をお借りして、採集した生き物たちの同定や、ツメタガイの卵塊を顕微鏡で観察するなどの学習を行いました。

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光明寺本堂で生きものの観察と同定を行う

当日観察できた生き物は:魚類では、ホタテウミヘビ、カサゴ、イソギンポ、ヘビギンポ、アミメハギ。巻貝では、マツバガイ、アカニシ、ボウシュウボラ、ツメタガイ、クボガイ、エビスガイ、ウラウズガイ、イシダタミ、スガイ、ムシロガイ、サザエ。ヒザラガイ類では、ケムシヒザラガイ、クサズリガイ、ウスヒザラガイ。ウミウシ類では、アオウミウシ。二枚貝では、アサリ、ハマグリ、アコヤガイ、フジノハナガイ。棘皮動物は種数が多く、イトマキヒトデ、ヌノメイトマキヒトデ、ヤツデヒトデ、スナヒトデ、ヒラモミジガイ、クモヒトデ、ムラサキウニ、バフンウニ、サンショウウニ、コシダカウニ、マナマコ、フジナマコ、キンコ。甲殻類としては、オオギガニ、コブシガニ、モクズガニ、ツノガニ、ヒライソガニ、イシガニ、ガザミ、カニダマシ、イソスジエビ、テッポウエビ、モエビ、ウミクワガタ、フナムシ、ハマトビムシ。その他には、多毛類のウロコムシ類、扁形動物のヒラムシ、海綿動物のカイメン類。海藻には、マクサ、キリンサイ、カジメ、アラメ、ウミウチワ、ヒジキ。海草は、アマモ、コアマモの群落も見られた。

浜の上部は、人工護岸があるが、その一部からは、ハマダイコン、ハマボッス、ツルナ、ハマヒルガオ、ラセイタソウ、コマツヨイグサ、コウボウシバなどの海浜植物も観察された。合計70種以上の動植物を観察することができた。

  • 吉野川と海が出合う河口干潟の観察会を実施

20170429徳島1

集まって説明を聞く参加者たち


2017年4月29日土曜日に、日本一の川幅を持つ吉野川河口で、自然観察会を実施しました。とくしま自然観察の会と吉野川ひがたファンクラブとの共催で行われました。

天候に恵まれ、参加者は、多くの子ども達も含めて約70名でした。

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三々五々、採集を行う参加者たち。沖に見えるのは建設中の吉野川高速道路の大橋

観察会を行った場所は、吉野川のもっとも海に近い河口部です。すぐ沖側では、徳島市内で4本目になるという高速道路の大橋が建設中で、海峡から太平洋に広がるすばらしい広大な景色が、台無しだなあと話しながらの観察会になりました。

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吉野川河口の砂州とその水際で採集する参加者たち

それでも、潮が引いてくると、河口部の砂州とその前面の干潟がどんどんと広がっていきました。

簡単な説明を聞いて、採集道具を持ってさっそく河原へ降りていきました。砂州は吉野川の川幅の半分近くに伸びており、中州に繋がっています。中州は貴重な鳥の繁殖地にもなっているため、観察会では立ち入らないことにしています。

付近には潮干狩りを楽しむ家族連れなども来ています。潮干狩りの狙いは、オキアサリ。ここではアサリはほとんど見つからず、地元でハタビとよぶオキアサリが潮干狩りの対象でした。ときどき、大型のハマグリも獲れています。

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吉野川河口の砂州とその水際で採集する参加者たち

観察会の狙いは、食べられる生き物に限りません。さまざまな生きものの姿を見ることを目的に、砂を掘り上げたり、打ち上げられた貝殻を拾ったりして、予定の1時間を大幅に超えてしまいました。途中で雨がぱらつき始めましたが、それも一時、後は晴れ上がりました。

観察会の準備など中心となって活動していただいた「とくしま自然観察の会」の井口利枝子さんに感謝します。

また、現地でお手伝いいただいた「川塾」や「ひがたファンクラブ」の皆様にもお礼申し上げます。

— この日、観察された動物は、以下の通りです。*印は、死殻もしくは死んで漂着したもの —
魚類 カレイ、ウシノシタ
棘皮動物 マヒトデ*、カシパン、バフンウニ*
甲殻類 ケフサイソガニ、ヒライソガニ、モクズガニ*、ヤドカリ、ニホンスナモグリ
二枚貝 ハマグリ、オキアサリ、トリガイ*、マガキ*、イワガキ*、フジノハナガイ、サトウガイ*、ムラサキイガイ*、タイラギ*、バカガイ、オオモモノハナ*、サクラガイ*、ミゾガイ*、アリソガイ*、ヤマトシジミ*、アサリ、オオノガイ*、クチベニガイ、クモリザクラ*
巻貝 マクラガイ、アカニシ、イボニシ、ヨメガカサ*、キサゴ、ツメタガイ、ムギガイ*、カノコキセワタ、キセワタ
多毛類 スゴカイ、チロリ類、イソメ、スナタバムシ

 

  • 表浜砂浜調査研修会を実施

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表浜まるごと博物館のベランダで採集物の同定と砂浜談義


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砂浜上部の植生帯を観察。海浜植物帯も砂浜の重要な構成要素(田中雄二氏撮影)

2017年4月9日(日)の表浜小島海岸での砂浜調査研修会は、15名の参加で行いました。

前日からの雨が激しく降る中で、9時過ぎから表浜まるごと博物館で砂浜調査のガイダンスを行い、雨が小やみになるのを待って出発。

小島海岸に出たときは、ほぼ雨も止み、調査の終わりには薄日も差してくる天候になりました。雨に備えて田中雄二さんがテントを設営しましたが、それも使うことなく、無事に調査は終了しました。

漂着物は予想よりも少なかったと田中雄二さんの感想ですが、それでも今年たくさん発生したコタマガイとチョウセンハマグリを採取している人の獲物を見せてもらい、表浜まるごと博物館に帰って、全員で昼食を摂りましたが、田中美奈子さんがつくってくれたコタマガイとチョウセンハマグリの酒蒸し料理に舌鼓を打ちました。

その後、同定作業をしながら、表浜の現状などについていろいろな話し合いが行われました。子どもたちも4名の参加があり、砂浜にも生きものの姿がいっぱいあること、砂浜は生きていることを実感できたことでしょう。

来年も少し時期をずらせて、再び表浜で砂浜調査研修会をやりましょうと約束して散会しました。

この研修会は、海の生き物を守る会と表浜ネットワークの共催で行われました。

 

  • 海の生きものを守るシンポジウム2017

「失われる沿岸の自然と公共事業―辺野古・諫早・泡瀬・三陸・湘南」大盛況の内に終了

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日本庭園を窓の外に見ながらも、講師の講演に多くの人たちが熱心に耳を傾けた。終了後、何人かの人たちから「たいへん勉強になった。これで終わるのはもったいないくらいだ」という言葉を聞いた。


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公共事業によって失われていく各地の沿岸の自然の現状に熱心に耳を傾ける人々

2017年2月18日(土)午後1時半から、上記のシンポジウムが京都市梅小路公園緑の館で開かれました。

講演は以下の6名が各地の沿岸の危機について現状と望む未来について紹介し、最後に公共事業の問題点と沿岸の自然を守るための提言がありました。

当初の予想を大幅に上回り、東北から沖縄まで約90名の参加がありました。

予想が甘く、用意した資料が足りなくなり、椅子も急きょ増やすなど、参加された皆様にはご迷惑をおかけしました。また、講演の最後には、プロジェクターもストライキを起こし、終了時間が遅れてしまいました。あわせてお詫びいたします。

しかし、期待以上の参加者があったことは、このテーマに関心を寄せていただけたということだと喜んでいます。

共催していただいた日本自然保護協会、助成をいただいた自然環境保全助成基金プロナテューラ・ファンドには、あらためて感謝いたします。

遠くから来ていただいた講師の皆様、ご参加の皆様、たいへんありがとうございました。

司会:辻村千尋(日本自然保護協会)
講演
「閉め切りから20年の有明海・諫早湾」佐藤正典(鹿児島大学)
「泡瀬干潟の現状と失われたもの」前川盛治(泡瀬干潟を守る連絡会)
「三陸の森里海のつながりを断絶する巨大防潮堤」田中 克(舞根森里海研究所)
「辺野古・大浦湾のサンゴ礁の危機と再生」安部真理子(日本自然保護協会)
「オリンピックにより開発の危機に晒される相模湾」大久保奈弥(東京経済大学)
「沿岸の危機を守るための提言」向井 宏(海の生き物を守る会)

 

  • 奄美大島で砂浜海岸生物調査を実施

20160925奄美大島1

20160925奄美大島1


20160925奄美大島2

2016.9.26 奄美新聞


20160925奄美大島3

2016.9.26 南海日日新聞

2016年9月25日、海の生き物を守る会では日本自然保護協会と共催で、奄美大島の手広海岸で砂浜海岸生物調査研修会(砂浜教室in 奄美・手広海岸)を行いました。

調査はこれまでの砂浜海岸生物調査の一環として行いましたが、今回は、日本自然保護協会の今年のプロジェクト「花しらべ」の趣旨に沿って砂浜の塩生植物を重点的に観察しました。

朝方の雨も上がり、開催中はじりじりと照りつける太陽の下、14名の参加者が興味深く時間を忘れて海岸を見て回りました。

調査の結果、それほど広くないけれど自然海岸である手広海岸で、17種の塩生植物を見いだしました。

オカヤドカリ、ムラサキオカヤドカリ、スナガニなども観察、途中で美しいルリカケスまで現れるなど、「きょら海」(沖縄で言う「ちゅら海」、美しい海という意味)を堪能しました。

その後、採集した貝類などを龍郷町体育文化センター(りゅうゆう館)会議室に持ち帰り、同定を行い、33種の貝類や甲殻類などの動物を記録して解散しました。

調査には「奄美新聞」と「南海日日新聞」の記者も取材に訪れ最後までいっしょに見て回りました。取材の記事は翌日の新聞に大きく掲載されました。

  • シンポジウム「奄美の海の未来について考える」 in 名瀬

世界自然遺産登録への課題がはっきりしてきた

20160924奄美大島1

シンポジウムで挨拶する大津「奄美会議」共同代表。高校生も聴きに来た。


20160924奄美大島2

2016.9.25 南海日日新聞

海の生き物を守る会では、2016年9月24日(土)に、奄美市名瀬公民館の金久分館研修室で、沖縄島などと共に世界自然遺産登録を目指している奄美大島に関するシンポジウム「奄美の海の未来について考える」を、「奄美の自然と文化を守る会」と共催で実施しました。

参加者は高校生からお年寄りまで56名。

沖縄名桜大学の田代豊教授や安部真理子会員によるサンゴ礁に重大な影響を与えている採石場の問題などについての報告があり、向井 宏会員が奄美大島の高い生物多様性とその危機について話しました。

世界自然遺産登録までには課題が多いことがはっきりと指摘され認識された後、地元からの報告が4題ありました。

龍郷湾のクルーズ船寄港開発計画問題、沖縄へ積み出しされている土砂に特定外来生物の「ハイイロゴケグモ」が見いだされたことを受けて鹿児島県に移出禁止の条例の制定を求める運動、嘉徳海岸の砂浜浸食とその対策、市集落の赤土対策などがテーマでした。

制限時間いっぱいに報告があり、まだまだ話し足りない参加者も多かったものの、大幅に終了時刻を超過。予定していた総合討論はできないままだったことが惜しまれます。

翌日の「奄美新聞」と「南海日日新聞」には、シンポジウムの内容が大きく報道されました。
 

20160924奄美大島3

2016.9.25 奄美新聞


20160924奄美大島4

2016.5.3の豪雨で採石場から流れ出した汚染水

  • 上関でアカテガニの放仔観察会を実施しました

20160730上関長島3

アカテガニの観察の前に記念撮影


20160730上関長島2

沈む夕日に照らされながら、田ノ浦で歓談する参加者たち。アカテガニが山から下りてくるのを待っている。


20160730上関長島1

アカテガニの放仔を観察する参加者

海の生き物を守る会では、上関の自然を守る会と共催で、2016年も7月30日(土)に山口県上関町田ノ浦の中国電力原発建設予定地で、アカテガニの放仔の観察会を行いました。

30日は新月の3日前でアカテガニの放仔が見られるか、少し心配しましたが、これまでにないほど多くのアカテガニ♀が子供を放しに海岸に降りてきてお産をするところを見ることができました。

参加者は子供2名を含む18名でした。

スタッフを含めてその感動の瞬間に立ち会うことができました。

素晴らしい景色と生き物の豊富な海に入った昼間と、夕方の素晴らしい夕日を見たあとのアカテガニの観察に、参加者一同、充実した大満足の一日でした。

  • 南紀白浜でクラゲの生物学講演会と磯の観察会を開催しました

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久保田さんの講演を聴く


20160521南紀白浜3

夏を思わせる暑い日でした。日陰を探して、みんなでお弁当を食べました。

20160521南紀白浜2

久保田さんの指導で磯の観察をする参加者


2016年5月21日(土)10:30~15:00 南紀白浜で、講演会および観察会を実施しました。

講演は白浜にある京大臨海実験所の久保田信准教授による「クラゲ類の性と繁殖」でした。

参加者は、約40名。大阪のシニア自然大学校海講座とも共催しましたので、大阪から多くの参加がありました。

天候は快晴。講演の後、実験所の北浜で、みんなでお弁当を食べ、磯の観察に臨みました。

久保田先生の楽しい解説を聞きながら、潮の引いた海岸で、さまざまな生きものを見て、白浜の海の多様性に、参加者一同あらためて感動しました。

  • 逗子市小坪 砂浜海岸生物調査 研修会

20160507逗子1

参加者全員で記念撮影

20160507逗子2

砂浜調査のあと平磯で観察する参加者

2016年5月7日(土)に、2020年オリンピックとの関連で巨大ホテルの建設が計画されている神奈川県逗子市の小坪大崎海岸で、砂浜のいきもの調査研修会を行いました。

日本自然保護協会の「砂浜生きもの調べ」とも共催しました。

定員20 名のところ、当日参加などもあり、最終的には家族連れなど32名が参加しました。

狭い小坪大崎海岸の砂浜でしたが、三浦半島では貴重な自然海岸。ちょうど干潮時だったために、沖合の平磯も干上がり、多数のウニが生息しており、5種のウミウシ、アメフラシの産卵も見られました。

1時間ばかりの調査で採集・記録されたのは、貝類58種、甲殻類5種、棘皮類4種、カイメン類2種、イソギンチャク1種、海草1種、海藻17種にもなりました。海浜植物も猫の額ほどの斜面に6種が確認されました。

子どもたちも大喜びで海の生きものと戯れていました。

心配された天候も快晴に。この宝もののような海を壊してヨットハーバーやボート溜りに変えていくなんて、なんてもったいないことでしょう。

—— 逗子市小坪大崎海岸で確認された生物のリストを公表します ——

神奈川県逗子市小坪_大崎海岸の生物20160525

参加者によって多くの生物が確認されました。確認された生物のリストを公表し、参加者・協力者の皆さんに厚く感謝致します。

編集:海の生き物を守る会
生物の同定:向井宏(海の生き物を守る会代表)、山下博由(貝類多様性研究所)、志村智子(日本自然保護協会)ほか
協力:日本自然保護協会、高木仁三郎市民科学基金、大久保奈弥(東京経済大学)
写真:山下博由、志村智子、渡辺竜生、水藤周三、安部真理子

→→→小冊子「小坪海岸102」を刊行しました。
冊子には、オリンピックのために開発されようとしている小坪海岸の自然と人々の生活を記載し、観察会によって発見された102種の海の生き物のリストを掲げ、さらに主要な生きものの写真を掲載しています。(編集:大久保奈弥さん)
 

  • 表浜 砂浜海岸生物調査 研修会

20160409表浜1

20160409表浜1

20160409表浜2

参加者で記念撮影

2016年4月9日(土)に、日本でも有数の砂浜海岸を持つ愛知県知多半島の表浜海岸で、砂浜のいきもの調査研修会を行いました。

当日は快晴に恵まれて、予定の14人のはずが、当日参加者が増え、スタッフを加えて30名が参加。初夏を思わせる日差しとどこまでも続く表浜の砂浜に打ち寄せる波を見ながら、小学生4人を含む全員で砂浜海岸生物調査を行いました。

調査の後は海岸でおしゃべりしながらお弁当を食べ、コンクリートブロックを撤去して自然海岸再生を試みている砂浜の説明を聞きました。

その後、表浜まるごと博物館に帰り、同定作業と調査票を完成。

漂着物学会の林さんから2012年に表浜に漂着ラッシュが起こったことの報告を聞かせていただきました。

この研修会は、海の生き物を守る会・表浜ネットワーク・日本自然保護協会の団体の共催として行われました。 

  • 奄美大島でサンゴ礁の調査

20160220奄美大島

南海日日新聞1面(2016年2月21日)

20160220奄美大島1

奄美新聞(2016年2月21日)

2016年2月20日に、奄美大島奄美市住用村の市(いち)集落の沖合で、採石場から流出する土砂によるサンゴ礁への影響について調査を行った。昨年5月と12月に続いて3回目の調査となった。

第1回の調査では、安部真理子会員(日本自然保護協会所属)と向井 宏代表が潜水調査で土砂の流入によるサンゴ礁の被害を確認、第2回は安部会員と琉球大の中野義勝さんによる潜水調査で、採石場からの赤土汚染の広がりとサンゴ礁の破壊の程度について調査を行った。第3回目の調査では、名桜大学田代教授と安部会員によって、採石場下の海岸で、大雨のあとの採石場から流れてくる水と海の表面水の汚染度を調べた。

この調査は、海の生き物を守る会が沖縄県サンゴ礁保全推進協議会からの助成金をもとに行っている調査で、市集落自治会の全面的な協力で行っており、調査のあとにはかならず市公民館で住民に説明会を開催している。

なお、この採石場は、沖縄県辺野古沖の埋め立てに使う土砂を採取している採石場であるが、辺野古への土砂搬出問題が起きる前から、市集落の人たちが採石事業による土砂の流出や環境悪化を訴えてきたところでもある。

海の生き物を守る会では、昨年12月に奄美市で行ったワークショップでこの問題を取り上げ、鹿児島県知事と環境省・経産省あてに要望書を提出している。

南海日々新聞が1 面でこの調査を報じ、奄美新聞も大きく報じている。
 

  • シンポ「市民調査を考える」 および総会を開催しました

20160123東京

市民調査についての討論を行う参加者たち

海の生き物を守る会では、2016年1月23日(土)に、東京御徒町のモンベル御徒町店で、「市民調査を考える~保全政策に繋がる調査へ~」を開催しました。

市民調査を行っている9団体の代表が活動の紹介をし、市民調査についての課題を議論しました。

参加者は約45名でした。シンポジウム終了後、御徒町駅近くの食事処「土風炉」で、夕食会を兼ねて「海の生き物を守る会」総会を行いました。参加者は、会員および新規入会者を含めて、20名でした。
 

  • 奄美の海を守るワークショップ 約90名が参加

20151218奄美大島2

2015年12月18日の調査で訪れた大島郡瀬戸内町嘉徳の海岸。砂が大量になくなったために、砂丘の植生帯も高波に晒されて削られ、背部のアダンの木立も崩壊、すぐ後ろの嘉徳集落の墓地も崩壊の危機にさらされている。となりの青久集落の沖で海砂の採取が行われている。

20151218奄美大島3

2015年12月19日の講演会。約90名が参加。

海の生き物を守る会は、自然と文化を守る奄美会議と共催で、2015年12月18~19日に、奄美大島の名瀬公民館でワークショップを開きました。

ワークショップのテーマは、「世界自然遺産候補=奄美の海の危機 ~砂浜の消滅・サンゴ礁の崩壊~」。ワークショップは18日に調査を行い、19日に講演会を行いました。

すばらしい海を持つ奄美と沖縄は、世界自然遺産登録を目指していますが、その努力を無にするような問題が起こっており、その問題を問いました。

参加者は、約90名。100部用意した資料はすべて無くなりました。

終了後は、約40名が参加して交流会を行い、島唄や指笛が飛び交い、全員で六調を踊り、ワークショップを締めました。

このワークショップは、コンサベーション・アライアンス・ジャパン高木仁三郎市民科学基金から助成金をいただきました。
 

2015年12月21日に、海の生き物を守る会から向井代表と安部運営委員、自然と文化を守る奄美会議から大津代表と城村事務局長が、砂浜の保全・海砂採取の禁止と採石事業の監視を要求する要望書を、鹿児島県大島支庁の鮫島総務企画部長に面談の上、手渡しました。

今後、同様の内容の要望書を、環境省、国交省、経産省に提出の予定です。

講演の講師と演題は以下のとおりです。

ワークショップ「世界自然遺産候補=奄美の海の危機 ~砂浜の消滅・サンゴ礁の崩壊~」

2015年12月19日(土)13:30~17:10
講演会:「奄美の海の危機 ~砂浜の消滅・サンゴ礁の崩壊~」
 
【砂浜の浸食と消失】
「大浜海岸・手広海岸・嘉徳海岸の過去と現状」
 薗 博明、碇山勇生、義 富弘(自然と文化を守る奄美会議)
「奄美大島の砂浜の変動とその要因 ~なぜ砂浜は無くなるのか~」
 向井 宏(海の生き物を守る会)
【サンゴ礁への影響】
「奄美大島における採石事業とサンゴ礁への影響」
 安部真理子(日本自然保護協会)
「陸域負荷からみたサンゴ礁の多様性保全」
 中野義勝(琉球大学・沖縄県サンゴ礁保全推進協議会)
【奄美・沖縄世界自然遺産登録に向けて】
「海辺の危機をどうみるか?~貴重な甲殻類と場の保全~」
 藤田喜久(沖縄県立芸術大学)

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2015年12月18日の潜水調査のようすを報じる奄美新聞(2015.12.19)

20151218奄美大島5

2015年12月19日の講演会のようすを報じる南海日々新聞
(2015.12.20)


 

  • 砂浜海岸生物調査の天神島研修会に30名参加

20151031横須賀1

参加者記念写真

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調査を楽しむ参加者たち


20151031横須賀3

子どもたちに指導する山下博由さん

2015年10月31日(土)に神奈川県横須賀市佐島の天神島にある横須賀市立自然・人文博物館天神崎臨海自然教育園天神島ビジターセンターで、砂浜海岸生物調査の研修会が行われました。

参加者は30名でした。

指導は、山下博由さん(貝類多様性研究所)、大久保奈弥さん(東京経済大学)、向井宏(海の生き物を守る会)の3名。

親子連れが多く、天候は今ひとつでしたが雨にも遭わず実施できました。

調査した砂浜は全体でも100m もない小さな砂浜ですが、打ち上げ生物の多様性が高く、浜の前面には、岩礁もあり、横須賀市によって保護区に設定されている海岸です。

浜辺でお弁当を広げて、楽しい砂浜調査ができました。

子どもたちがトキワウミウシの交尾個体を見つけたり、イソガニ類を追いかけたりと、久しぶりの海辺での遊びを堪能していたようです。またこんな機会があればぜひ参加したいと多くの参加者から感想があるなど、予想以上の成果を上げられたと思います。

施設を無料で貸していただいた横須賀市立自然・人文博物館には、深くお礼申し上げます。

また、このイベントに補助をいただいた高木仁三郎市民科学基金にも深謝いたします。
 

  • 写真展「大浦湾の生きものたち」を京都で開催しました

20151022京都1

京都で開催された写真展「大浦湾の生きものたち」

海の生き物を守る会は、2015年10月22日~26日に京都市河原町御池の京都市役所前地下街(ゼスト御池)で、写真展実行委員会主催で開催された写真展「大浦湾の生きものたち」を協賛しました。

会場には、子供連れのお母さんやお年寄りが多く訪れ、ジュゴンの話や大浦湾の美しい海と生き物について感想を寄せる方も多く見られましたが、中には大浦湾がどこにあるか知らない人や、辺野古の新基地建設によって大浦湾の自然が壊されることも知らない人もかなりいて、写真展の展示方法にも工夫がいると感じさせました。

米軍基地を作るために失われる大浦湾の価値を再確認した人も多かったようです。

期間中に写真展を観覧した方々は、およそ500人でした。
 

  • 安全保障関連法案(安保法案)に反対する環境NGO共同声明

現在、参議院で審議されている安保法案は、環境問題に取り組んでいる私たちにも様々な面で悪影響をもたらします。他の多くの環境NGO と共に、海の生き物を守る会も、この安保法案を廃案にするよう求める共同声明に参加しました。共同声明の内容は以下の通りです。
——————————————————————————————————–
『現在、国会で通称、「安保法案」(注1)が審議されています。 私たちは、環境保全や平和、人権問題に取り組んできた NGO として、安保法案は、日本が戦争に加担することを可能にするものであることから、これに反対します。また、形式的な審議を繰り返したあげくの衆議院での強行採決に強く抗議します。
言うまでもなく戦争は最大の環境破壊であり、人権侵害です。歴史上、あらゆる戦争は、他国の脅威を必要以上に宣伝し、自国あるいは同盟国の利益を守ることを言い訳にして、引き起こされてきたのです。いまこそ私たちは、こうした歴史を真摯に振り返るべきでしょう。
ひとたび、この一連の法改正が行われば、戦後70年、日本が築いてきた平和国家としてのブランドが覆されるでしょう。自衛隊が戦争に加担し、人を殺し、殺される事態となるでしょう。海外では日本人が標的にされ、国内ではテロのリスクが高まることが予想されます。
審議の進め方についても、10もの法律を改正し、1つの新法をつくり、これをたった一回の国会で成立させてしまうという乱暴なものです。こんなお粗末な審議で、戦後70年の平和の礎を簡単にひっくり返してよいのでしょうか。
連日、国会周辺では、たくさんの人たちが安保法案に反対の声をあげています。現在の安保法案を「違憲」とする憲法学者は9割以上にも上っています(東京新聞、朝日新聞)。
共同通信による最新世論調査(2015年6月20、21日)では、安保法案「違憲」が 56.7 %、「違憲でない」が 29.2 %。
法案に「反対」する人は 58.7 %にも上っています。
政府与党は、この圧倒的な民意や憲法学者の意見を無視するべきではありません。
私たちが取り組んできている環境運動の目的は、自然環境と生物多様性、そして人々の生活環境を保全し、人権と平和を守り、安全で安心な生活ができる社会を築くことにあり、安保法案はその最大の脅威です。
私たちは、平和を真剣に希求するすべての人たちとともに、安保法案を廃案することを求めます。』
 
(注1)武力攻撃事態法、周辺事態法、自衛隊法、国連 PKO 法など10の法律の改定と、国際平和支援法の新設。
 

  • 新潟県柏崎市で砂浜調査研修会を行いました

20150711新潟1

砂浜海岸生物調査の研修会の参加者(新潟県柏崎市荒浜海岸にて)

海の生き物を守る会では、日本自然保護協会と共催で、2015年7月11日土曜日に、砂浜海岸生物調査の研修会を行いました。

日本自然保護協会は、夏休み砂浜教室「海岸エコトーンを感じよう」と題してのイベントでしたが、夏休みが始まる前ということもあって、生徒たちの参加はありませんでした。新潟県自然観察指導員の会による後援を受けました。

調査した砂浜は、柏崎市の荒浜海岸。日本海の砂浜では、初めての研修会でした。

参加者は、新潟県の自然観察指導員など、スタッフを含め17 名でした。日本海側としては例外的な晴天に恵まれ、向井と大久保両講師による説明を受けて、約1時間、砂浜を歩き、砂浜植物を見て回りました。

打ち上げの貝類は種数は少なく、少々期待外れでしたが、後背植物帯では、最高20種類の海浜植物を観察できました。その他、非常に微小な海岸性のハンミョウが採集されるなど、興味深い採集もできました。
 

  • 奄美フォーラムを開催 成功裡に終わる

「奄美の自然を守り、辺野古に連帯する」

20150530奄美

奄美フォーラムの会場を埋めた人々と、熱心な討議がなされた

2015年5月30日に、「ストップ辺野古!奄美緊急アクション第2弾~奄美大島の海山を守り、沖縄に連帯する~」のタイトルでフォーラムを行いました。

辺野古沖の米軍基地建設のための埋め立てに使われる土砂を供給するために、奄美大島や瀬戸内海など15ヶ所で大規模な山の切り崩しが行われています。

その採石事業は、地元の自然を破壊し、海の環境へも大きな影響を与えています。

このフォーラムは、「海の生き物を守る会」と「自然と文化を守る奄美会議」の共催で、名瀬市市民広場「AIAI ひろば」において行われました。

講演は、向井 宏、安部真理子の両氏が辺野古の埋め立て反対活動とジュゴンの保全について、地元から奄美環境ネットワークの薗博明さんとサーファーの碇山勇生さんの2氏に、現地の状況を紹介してもらいました。

定員を100名としましたが、用意した100部の資料が無くなるほど多くの方が参加して、熱心な討論も行われました。

その中で、奄美大島の自然や人々の生活が採石事業で損なわれていることが認識され、瀬戸内海など採石・搬出が予定されている地域で連帯して問題の解決に取り組もうという共通の意識が形成されました。

共催した「自然と文化を守る奄美会議」の人たちに深謝いたします。

また、このフォーラムは、コンサベーション・アライアンス・ジャパンからの助成金で実施されました。感謝いたします。

20150530奄美1

フォーラムを伝える奄美新聞 2015.5.31

20150530奄美2

フォーラムを伝える南海日日新聞 2015.5.31


 

  • 「嘉陽海岸砂浜いきもの調査」を実施

砂浜のいきもの調査を行う人たち

砂浜のいきもの調査を行う人たち


お昼は砂浜でお弁当を開く

お昼は砂浜でお弁当を開く


終了後に記念撮影(一足お先に帰ってしまった人たちも)

終了後に記念撮影(一足お先に帰ってしまった人たちも)

2015年3月8日、米軍基地建設で埋め立てられようとしている辺野古・大浦湾に隣接する名護市嘉陽の海岸で、「嘉陽海岸砂浜いきもの調査」を日本自然保護協会との共催で実施しました。

一般に参加を呼びかけた結果、11家族25人が参加し、大潮の嘉陽海岸で生きものを観察したり、種名の同定を行ったり、浜辺でお弁当を開いたりして楽しみました(写真)。

心配した天候も、晴れたり曇ったりのまずまずの天気になりました。

那覇など沖縄県南部から参加した家族も多かったのですが、参加して良かった、次回もぜひ参加したいなどの声が寄せられました。

このイベントは、「おきなわサンゴ礁ウィーク2015」の一環として行ったものです。指導は、当会代表の向井 宏。

この調査は、海の生き物を守る会が行っている砂浜海岸生物調査の一環としても扱い、調査票がたくさん集まりました。参加された皆さん。どうもありがとう。
 

  • 海の生き物を守るフォーラム2015

「海と人間の関わり方~コンクリート文明からの脱却」を開催

京都在住の歌手・江藤ゆう子さん

京都在住の歌手・江藤ゆう子さん


佐藤正典さんの熱の入った講演

佐藤正典さんの熱の入った講演


熱心に講演を聴く参加者の皆さん

熱心に講演を聴く参加者の皆さん

2015年2月11日(水・祝)に大阪の「クレオ大阪東」で、「海の生き物を守るフォーラム2015 海と人間の関わり方を考える~コンクリート文明からの脱却」と題したフォーラムを開催しました。

このフォーラムでは、諫早湾・有明海の問題と東北防潮堤問題を中心に、日本における自然と人間との関わり方を考えるとともに、京都在住の歌手・江藤ゆう子さん(写真)に、海と人間の絆、残していきたい海と人間の歌を歌っていただきました。また、江藤さんには司会もお願いしました。

残念ながら、参加者は予想を下回る約40名でした。講師の田中克先生も「中身の重要性と参加者の人数の落差を感じました。今後、どうしたら次の時代を担うこれからの皆さんに参加いただけるかが重要」とおっしゃっていました。反省点です。江藤さんの歌声は好評だったと思います。

この海の生き物を守るフォーラムは、昨年まで2回ほど関東で開催しましたが、今年は大阪で、来年ももう一度関西で行う予定です。

これからも海の生き物を守るため、海岸の現状を変えていく人々の意識を作っていけたら良いと考えています。

来年はぜひとも多くの方に参加していただきたいと思います。
 

  • ジュゴン・スタディツアー報告会を開催

2015年2月6日午後7時から、2014年12月1日~9日に行ったジュゴン・スタディツアーの報告会をジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)との共催で開催しました。場所は、東京都品川区総合区民会館・きゅりあんでした。

報告会では、まずSDCCから沖縄におけるジュゴンをめぐる状況についての報告が有り、その後、スタディツアーの主催者である海の生き物を守る会の向井が、これまでのスタディツアーの歴史やツアーの目的などについて話をしました。

最後に、12月のスタディツアーに参加したSDCCの三村昭彦さんから、写真の紹介を交えて、ツアーの様子が報告されました。

参加者は、約15名。次回のツアーにぜひ参加したいという言葉もいただきました。
 

  • ジュゴン・スタディツアーを実施しました

2014年2月に続いて、2014年2度目のジュゴン・スタディツアーを12月1日~9日に行い、フィリピン・ミンダナオ島のダバオ湾周辺のプハダ湾、マヨ湾、マリタ市の3カ所を訪れました。参加者は若者から高齢者まで5名が全行程に参加しました。

調査本隊は、太平洋側のマヨ湾でジュゴンの水中撮影にも成功、ツアー参加者も、全員がジュゴンを観察し、ジュゴンの食み跡を見て、ジュゴンが食べる海草について、勉強しました。マティ市のDOSCSTとマリタ市のSPAMASTの2つの大学では、セミナーにも参加し、現地の学生や教員たち、そして街の人々とも交流しました。

帰る頃、去年と同じような大型台風22号が、フィリピン中部のビサヤ地方を襲ったため、帰りの飛行機が欠航する可能性が高くなり、心配しましたが、結局、無事飛行機も飛び、予定通りのツアーが実施できました。

ジュゴン・スタディツアーの報告会をいずれ予定しています。

以下に、前回に引き続き参加した久保田信さんの感想・記録をお届けします。

3回目のフィリピンのミンダナオ島でのジュゴン調査(久保田信)

20141201ジュゴン・スタディツアー報告1

20141201ジュゴン・スタディツアー報告1


20141201ジュゴン・スタディツアー報告2

20141201ジュゴン・スタディツアー報告2

2013年3月初旬、フィリピン最南端のミンダナオ島でのジュゴン調査隊に初めて加わった。その次の参加は2014年2月下旬、今回で連続3回となった。2014年12月上旬の調査では、これまでと同様の約1週間の調査訪問ができた。いずれも島の南部に位置するマチMatiとマリタMalitaでの調査である。マニラから飛行機を乗り継いで降り立ったミンダナオ島ダバオDavao空港から東西へ車で、それぞれ数時間ほどの小さな町である。全て向井宏先生が10年以上も前から調査されている場所である。

ダバオ東方のMatiではダヒカンDahicanという所にあるサーフ天国の美しい砂浜(写真1)に面したリゾートホテルにいつも宿泊する。今回、ここに到着後、すぐにジュゴンを目撃できた。目の前に広がるマヨ湾Mayo Bayにはジュゴンが生息していることは知らされていたが、実際にこの目でこの現場で見たのは今回が初めてだった。12月2日夕方、恐らく1頭が2度海面に現れた。

Dahicanの磯浜には漂着物が多い。多種多様な貝殻や種子などが収集できる。南国ムードたっぷりのメニューだが、小生が勤務している京都大学瀬戸臨海実験所が所在する和歌山県白浜町沿岸に生息している貝類も多く見られて黒潮の恵みを体得できるし、漂着する種子にも南方へのつながりが分かる。ここでのメインはMayo Bayとは反対側にあるプハダ湾Pujada Bayで、ジュゴンのはみ跡などを調査する。この波静かな湾で、カウンターパートのDOSCST(東ダバオ州立資源科学大学)のLeaさんやフィリピン大学のFortesさんら一行もずっと調査隊のメンバーである。今回、東大の山室真澄さんと新人チームであるウインデイーネットの小川年弘さんらの5名が凄腕の測量機器を用いた海草やジュゴンの調査を実施された。

向井チームはマサオMasaoにあるリゾートホテル前から現地製の船をチャーターし、湾口付近にある2つの小島の傍を回って戻ってくる周遊の行程で、主に海草のはみ跡調査を実施した。海草ベッドの中に線状のはみ跡がいくつもあった。シュノーケリング観察で小生は確認した。前回も同じ場所に今回と同じようなはみ跡があった。ジュゴンが時折ここで摂餌しているのは確かである。現地ではこれに関連した講義も聞ける。Fortes先生が1時間ほどされた。

Malitaへは半日Matiから移動するが、その途上、Davaoでダイビング器材をショップで一式借りる。その翌日はカウンターパートのSPAMASTのRuthさんのいつものお世話で市役所や歴史博物館などをまわった後、講演会が開催された。その後、ジュゴンが毎回目撃できるいつもの現場へも下見に行った。時ならぬ巨大台風が接近しており、波の状態が気がかりだったが案外荒れていなかった。現地で観察をしている方から早朝にジュゴン3頭が目撃できたとの情報を頂けた。カウンターパートが昼食も夕食もお世話してくださり、今回はカラオケのバックミュージックも付属してあり、筆者も幾つかを気持ちよく歌えた。現地の人は相当な歌好きである。

その翌日と翌々日はジュゴンと海草の調査。筆者は岸からいつものように海面に息継ぎするジュゴンを確かめる。今回は過去2回ほどには熱心に観察しなかったが、初日に1回、その次の日には12回以上が目撃できた(写真2)。いずれも午前中に限られており、Matiの場合とは異なっていた。出現をねらった写真や動画撮影は難物である。今回は初めて2頭が並んで出現したのも目撃できた。現地の方によると子供もいるそうである。ジュゴンは何年にも一度一頭の子供を産むのでなかなか子供は見られないとのことである。観察の休み中には漂着物調査も実施する。Malitaの砂浜には種子は比較的多く漂着しているが、貝類やサンゴなどの海洋生物は極めて少ないのが寂しい。

Malitaの朝食は24時間オープンのホテル近くのレストランで色々なものが食べられる。昼食や夕食はカウンターパートがおもてなしをしてくださることが多い。早朝に散歩すると、町の人々が声をかけて挨拶してくださる。原色の花々が咲いており、果物も色々実っている。マーケットの魚市場コーナーに行くと、魚が中心に売られているがいつもの貝や海藻もある。写真を撮らせてもらうと、いつでも皆人なつこく、いっしょに写るろうとする方々が多い。

瞬く間に時間が過ぎてゆく……。マンゴスチンは時期が終わり、ドリアンは時期が早すぎたが、色々なトロピカルフルーツが今回も食べられた。やっぱりココヤシは定番だが有り難い。今回は山へのエクスカーションもあり、森林性の動物、特にフィリピンワシの仲間も観察できた。最後に、今回の2カ所の調査では2チームにより色々な観察方法がとられたが、ジュゴンの姿が双方ともカメラでばっちり撮ることができたのは何よりだった。

2014年12月1日~9日に行ったジュゴン・スタディツアーの報告に代えて、引き続き、参加者の感想・記録をお届けします。今回は三村明彦さんです。

ミンダナオ島でのジュゴン調査に参加して ジュゴン保護キャンペーンセンター 三村明彦

初めて参加したジュゴン・スタディツアーでしたが、ジュゴンの生息している地域で調査ができ、ジュゴン保護に携わっている方々と交流ができて実り多いツアーでした。

プハダ湾の海草調査では、多くのジュゴンの食跡を発見できとても感激しました。また手つかずの自然が多く残り、巨大なサンゴをボートの上からも確認でき、とてもわくわくしました。

マヤ湾では、ほんの一瞬でしたが、ジュゴンの背中を見ることができました。山室チームが、マヤ湾でジュゴンの撮影に成功したとのことで、とてもうらやましく思いました。

ニューアルガオでは、実際に海草の生息状況の調査をダイビングで行い、とても勉強になりました。水中調査の途中で私たちの横で巨大な砂煙が上がり、それがいったい何の仕業だったのか? ジュゴンか巨大なエイか・・・・・・? いまだ謎です。このミステリーもツアーの良い思い出となりました。

一方、ジュゴンの生息している地域に、石炭火力発電所が建設されていることに大変ショックを受けました。辺野古の現状と同じですね。今後の影響が心配されます。

東ダバオ州立資源科学大学(DOSCST)やSPAMAST、MALITA MUNICIPAL HALLなど行政や教育機関が関わっていることに感動しました。若い方々がジュゴンの保護とともに環境保護について興味を持ち、行政・国を動かしていけるように期待しています(私たちにも突きつけられている課題ですが)。

チャンスがあれば次回のツアーにも参加したいと考えています。ありがとうございました。

 

  • 北海道 講演会 ミニコンサート「海を語り 海を歌う集い」報告

20140713北海道3_歌う江藤ゆう子さん

20140713北海道3_歌う江藤ゆう子さん

2014年7月13日(日)に、北海道厚岸町情報館で、海の生き物を守る会と厚岸町、厚岸町環境教育推進協議会の共催で、環境講演会「海を語り 海を歌う」を行いました。

江藤ゆう子さんの「島人ぬ宝」の歌唱で始まった会は、江藤さんの司会で行われました。

20140713北海道1_講演する本間浩昭さん

20140713北海道1_講演する本間浩昭さん

講演は、本間浩昭・毎日新聞記者が「どう守る?北方四島の自然」と題して、ロシア政府が最近進めている四島の開発政策を紹介し、ビザ無し交流で調査や記録してきた四島の自然の変化から現状を危機的な状況ととらえ、知床半島からロシア領を含む広域の世界遺産登録を目指すべきだという提案について話していただきました。

20140713北海道2_講演する向井 宏

20140713北海道2_講演する向井 宏

向井 宏・北大名誉教授は、日本の海の生物多様性の危機とその原因について説明し、現在の環境省の取組と今年発表される重要海域の候補を紹介し、今後どのように海洋保護区を拡大していくかについての問題点を指摘しました。

20140713北海道4_江藤さんの軽妙な司会とトークで参加者も笑い顔が絶えません。

20140713北海道4_江藤さんの軽妙な司会とトークで参加者も笑い顔が絶えません。

その後、京都在住の歌手、江藤ゆう子さんによる「海と愛を歌う」と題したミニコンサートでは、「海 その愛」「海」「さくら貝の歌」「愛の歌」など、江藤さんの歌い上げる懐かしい海の歌で参加者は和みました。また、「知床旅情」「夏の思い出」を参加者と共に合唱しました。

20140713北海道5_講演会+ミニコンサート会場のようす

20140713北海道5_講演会+ミニコンサート会場のようす

約60名が参加しました。参加者には好評だったようです。また参加したいという声が寄せられました。

北海道新聞2014.7.14 朝刊

北海道新聞2014.7.14 朝刊


 

  • 紀伊白浜 講演会・観察会 報告

20140531南紀白浜報告1

20140531南紀白浜報告1

和歌山県白浜町の京都大学瀬戸臨海実験所にて、2014年5月31日(土)、所長の朝倉彰教授と鹿児島大学から佐藤正典教授をお招きして「海の生き物講演会」を開催。

京大の学生の皆さんの参加もあり、約30名の方々が、講演に熱心に耳を傾け、質疑応答も盛んに行われ、充実した会となりました。

朝倉教授の紹介したヤドカリの多彩な形態や生態に参加者は興味を持ち、佐藤教授の諫早湾問題についての講演では、泥干潟の重要性と諫早湾の現状をあらためて認識でき、とても有意義な会になりました。
 

20140531南紀白浜報告2

20140531南紀白浜報告2


20140531南紀白浜報告3

20140531南紀白浜報告3

20140531南紀白浜報告4

20140531南紀白浜報告4

 

暑さの中にもほどよい浜風も吹く、さわやかな31日午後、ぬけるような青空の下、大きく潮の引いた実験所前の北浜にて、引き続き「自然観察会」が開かれました。

浜辺での昼食の後、京都大学久保田信准教授のユーモラスで分かりやすい名調子の説明と指導を受けながら、なごやかに賑やかに実施されました。

現地では珍しいハナガサクラゲも潮だまりで発見し、クラゲ博士の久保田先生もびっくり……。

地元からの親子連れの方をはじめ、遠来の参加者も含め30余名の参加者は予定時刻を大幅に過ぎるほど熱心に観察を続け、名残を惜しみつつ解散しました。

一部希望者は、隣接する南方熊楠記念館にも立ち寄り、谷脇館長の説明で館内を見学させていただきました。(報告 向井保子)
 

  • 砂浜海岸生物調査研修会 報告 -晴天の江ノ島海岸で-

20140517江ノ島 砂浜海岸生物調査報告1

20140517江ノ島 砂浜海岸生物調査報告1


20140517江ノ島 砂浜海岸生物調査報告2

標本の同定に苦慮する参加者たち。貝類の同定は、山下博由さんに教えていただきました。


20140517江ノ島 砂浜海岸生物調査報告3

神奈川新聞(2014/5/16)

2014年5月17日(土)10:00から14:30まで、神奈川県藤沢市江の島のかながわ女性センター会議室で、砂浜海岸生物調査研修会を、パタゴニアの助成金で実施しました。

当日は晴天に恵まれ、小学生も含め17名が参加しました。

最初に、海の生き物を守る会代表の向井宏が砂浜海岸生物調査の意味と調査方法について説明した後、全員で、行楽客でごった返す江ノ島大橋から片瀬海岸に降り立ち、実際に砂浜海岸生物調査を体験しました。

海岸では、生きたテングニシやマテガイなど大型の貝類やスナモグリも採集され、ホタルガイが砂浜を這っているのも観察されました。

久しぶりに海に触れたという人も多く、暑さもあって冷たい海水に足を浸し、楽しい海辺の調査を楽しみました。次々と海の生き物が見つかり、なかなか調査を終えたくない気持ちになったようです。

調査の後は、浜辺でお弁当を開き、行楽気分も味わいました。その後、標本をセンターに持ち帰り、同定と調査票を完成させて、予定通り終了しました。

その後、小学5年生の北村彩乃さんが採集した小さなカニを専門家に同定を依頼したところ、日本では記録がない属のカニであることが分かり、びっくり。新種の可能性もあるとのことです。

まだまだ砂浜には未知の生きものが棲んでいるのかもしれませんね。

  • ジュゴン・スタディツアー報告会 -第4回ジュゴン連続学習会-

20140511大阪_ジュゴン勉強会報告1

20140511大阪_ジュゴン勉強会報告1


20140511大阪_ジュゴン勉強会報告2

20140511大阪_ジュゴン勉強会報告2

2014年2月末に行われたジュゴン・スタディツアーの報告会を、2014年5月11日14:00から16:00まで、大阪市のドーンセンターセミナー室で、ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)と開催しました。SDCCの行事としては、第4回ジュゴン連続学習会となります。

報告は、海の生き物を守る会代表の向井宏からこれまでのジュゴン研究の経過とジュゴン・スタディツアーを始めてからの経緯を話し、今年スタディツアーに参加した正阿彌崇子さんが、今年のジュゴン調査前半のできごとを、写真を使って説明し、感想を述べました。

後半については、向井宏が今年の調査についての説明を行いました。前半、ジュゴンを間近で見られた今回のツアーは、後半でも例年のように頻度高くジュゴンを観察することができて、幸運でした。

また、今回の調査では、マティとマリタという二つの地域で、住民や学生を交えたジュゴンの保護についての話し合いが行われ、日本とは異なる住民参加のありように考えさせられるものがありました。

報告会は、予想を超える27名の参加があり、盛況でした。

※SDCC作成の人気の「ジュゴン帽子」をかぶって記念撮影も!
 

  • 頻度高くジュゴンが現れる

2014年2月21日~3月1日 ジュゴン・スタディツアー報告

海の生き物を守る会が実施した2014年のジュゴンスタディ・ツアーは、3月1日に終了し、参加者は全員帰国しました。

今年の参加者は、国内から3名、フィリピン国内から2名でした。そのうち全行程をともにしたのは1名だけで、あとの参加者は前半だけに参加して、帰郷・帰国しました。

前半も後半もジュゴンを見ることができ、とくに前半はジュゴンを間近に見ることができました。このジュゴン・スタディツアーの報告会は、2014年5月11日を予定しています。

以下に、スタディツアーに全行程参加した久保田信さんの感想を掲載します。

ミンダナオの海から – 人魚の涙 (久保田信)
20140221_ジュゴン・スタディツアー

20140221_ジュゴン・スタディツアー

奄美大島で初めての生物調査の折に恐竜時代を彷彿とさせてくれたのがヘゴの勇姿だった。ヘゴとは対照的に小型の二枚貝の「ジュゴン(→人魚)の涙」がここには生息している。確かにかつて奄美大島にもジュゴンが生息していた。ジュゴンと人間との関わりには涙の物語がある。

その好例がステラー海牛の悲劇である。18世紀半ばにベーリング海で盛んになったラッコ漁が災いし、加えて海牛は人懐こくておとなしく、仲間思いなので、すべて(1500頭程度)がたった27年間で採り尽くされた。その最後の標本を昨年にイギリスの大英博物館に見に行った。一頭の骨格標本だった。

南海の海牛であるジュゴンもステラー海牛と似た運命なのだろうか? 日本では第二次世界大戦頃以前には、ジュゴンは奄美大島をはじめ、南西諸島のおとなしい住民だった。ジュゴンは人を見たら逃げる性質があったが、それでも今や絶滅が目に見えており、まもなく新しい米軍基地になろうとしている3沖縄島の小地区に少数が生息するという。こんな状況では日本ではジュゴンに出会える確率は相当低い。かつて2頭のジュゴンを見学に行ったが、鳥羽水族館なら今でも1頭の飼育個体に会える。

ジュゴンに近縁のマナティとはフロリダなどで共存できているので出会えるという。3年前にフロリダにカイヤドリヒドラ類の念願の研究調査で出かけた際には、その時間はとれなかった。でもジュゴンにすぐに出会える場所があるという。フィリピンのミンダナオ島の自然の海で元気に生きているとのことだ。ジュゴンの観察にぜひ行ってみたい。彼らの住み場所はどんな所なのか? じかにこの目で確かめてみたい……。

そこで、本会をお世話頂いている向井宏先生がチーフである調査の一行に加えてもらった。先生は10年ほどのここでの調査の経歴がある。2014年の2月下旬、ミンナダオ島のダバオ空港に降り立ったのは2度目だった。向井先生は島の南部にあるマチ市の2区域で、ずっと毎年調査を実施されている。主にSCUBAを使った現場での生物調査であり、若い方も同行して活躍される。そこは海草がよく生育しており、ジュゴンの接餌場所などになっている所である。先生の意見だと海草は Bioshield(編注:バイオシールド=植生など生物構造物で地域防災や環境保持を図ること)として機能しており、ジュゴンはその象徴動物だという。フィリピン大学のカウンターパートのFortes先生も熱心に同行されておられる。先生によると太平洋区域ではたった数百頭しか生息していないそうである。

2014年も昨年と同様、2区域ともダバオから車で4時間ほど走って実施した。島の南東部のダヒカン付近では、波当たりが全く違っている複数の地点で調べる。ボートをチャーターしたり、岸から目視したりする。現地のカウンターパートの先生方が頼りがいのある助っ人だ。内湾にはマングローブが茂り、サンゴ群落も点在する。水の透明度もいい。一方、外海に面した所は波当たりが強く、サーファーのメッカになっている。いずれの所でも干満の差は大きい。私は今回が初体験なので、強く印象に残ったのが、ジュゴントレンチと呼ばれる彼らの海草のはみあとを見られたことだった。複数の調査地点で、いくつも点在しているのが確認できた。新旧が残っており、調査隊によると親子が並んで海草を食べた跡さえあるという。最初に見たのはオオイカリナマコの体長のおよそ4倍の長さだったので4mくらいであろう(画像)。

一方のマルタの調査地区は干満の差が大きい砂浜である。ここでは、昨年、海草を摂餌しては呼吸をしに海面に上がってくるジュゴンの姿をなんども観察でき、目視での定量データもとれた。今回も行けばすぐに出会えた。初日で調査が始まった直後だった。ちょうど1時間の継続目視観察で7度も現れた。1頭は幼若個体らしい。

向井先生たちの調査隊は3年前に立ち上げられたSBS(Seagrass bioshield project)の研究成果を2地域の研究機関で発表をされ、カウンターパートとの交流を大切にしておられた。先生の調査報告によると、どちらの区域でもこのところめっきり海草が減っているということだった。濁度とか透明度との関連も調べられている。このことはジュゴンにとっては楽園でなくなっていっている可能性がおおいにある。食物がなくなれば移動するか、それができなければ死亡が待っているのかもしれない。減少には複数の原因があると推察されているが、特に人間の経済活動と大いに関連があるのではないかと私には思える。設備がある程度整ったホテルが活用される時代が急速にきているという向井先生のつぶやきが気になる。今年から発電所建設の工事が調査区域のすぐ近くで始まっていた。

 

  • 海の生き物を守るフォーラム 盛会に

「海の自然保護 最前線!~海の生き物を守れない日本のシステム~」報告
20140201東京_フォーラム

20140201東京_フォーラム

2014年2月1日に、海の生き物を守る会と日本自然保護協会の共催で行われた海の生き物を守るフォーラム「海の自然保護 最前線!~海の生き物を守れない日本のシステム~」は、73名の参加を得て、盛会のうちに終了しました。

講演とその後のパネルディスカッションでは、会場からも積極的な発言が相次ぎ、終了時間を30分延長して活発な議論と重要な提言が続きました。

次回も、このような議論の場を設けることをお約束して、終了となりました。

20140201東京_パネルディスカッション

20140201東京_パネルディスカッション


 

当日行われた講演は、以下の通りです。
なお、フォーラムの様子は、日本自然保護協会によって同時中継されました。

プログラム:

  1. 日本における海洋保護区のいま 志村智子(日本自然保護協会)
  2. 重要海域の選定とその問題点  向井 宏(海の生き物を守る会)
  3. 日本の水産業と海洋保護区   勝川俊雄(三重大学)
  4. 沖縄・辺野古の海のこと    安部真理子(日本自然保護協会)
  5. 海岸利用者が望む海洋保護区  田中雄二(表浜ネットワーク)
  6.  
    パネルディスカッション
    コーディネーター:井田徹治(共同通信)
    コメンテーター:吉田正人(IUCN-J)
    パネリスト:向井、勝川、安部、田中

 

  • 第2回 ジュゴン勉強会
     -ジュゴンを守るためにジュゴンを知ろう- を開催しました

20131005大阪_ジュゴン勉強会報告1

20131005大阪_ジュゴン勉強会報告1

海の生き物を守る会では、「ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)」と共催で、10月5日、大阪ドーンセンターで第2回のジュゴン勉強会を開きました。

現場でジュゴンの行動と保全の取り組みを行っている向井 宏(海の生き物を守る会代表・京都大学特任教授)が、「ジュゴンの行動と保護 ~フィリピンと沖縄の調査から~」と題して、タイやフィリピンにおけるジュゴン調査の結果をもとに、現在までに明らかになったジュゴンの生態とその環境について話をしました。

また、絶滅に瀕している沖縄のジュゴンについても、米軍基地建設問題も含めて、その将来を考えました。

参加者は、20名程度でしたが、議論も活発に行われ、参加者全員がジュゴンについて理解を深めました。

次回は、来年初め頃、3回目の勉強会を行う予定です。

 

ジュゴン保護キャンペーンセンターの山根富貴子さんが感想を可愛くまとめてくれました。

20131005大阪_ジュゴン勉強会報告2

20131005大阪_ジュゴン勉強会報告2


 

東京から参加したイラストレーターの渡辺はるかさんが、勉強会を聴いてイラストを描いてくださいました。

20131005大阪_ジュゴン勉強会報告3

20131005大阪_ジュゴン勉強会報告3


 

  • アカテガニの放仔観察と上関・祝島ツアーを行いました

海の生き物を守る会では、7月19~21日に、山口県の上関・祝島ツアーと、原発建設予定地田ノ浦で、アカテガニの放仔行動の観察会を行いました。
20130719上関祝島_アカテガニ放仔観察1

20130719上関祝島_アカテガニ放仔観察1

この会は、上関原発建設のための海面埋め立て免許差し止めを求めて、上関の自然を守る会や原発を建てさせない祝島島民の会などが行っている「自然の権利訴訟」(カンムリウミスズメやスナメリなどを原告とした訴訟)を支援している弁護士グループJELFが主催し、上関の自然を守る会と海の生き物を守る会が共催して、彼らの訪問を機会に、計画されたものです。

総勢23名のうち、海の生き物を守る会からの参加者は10名でした。

19日には、上関町室津で、向井による長島の自然と原発の問題点についての講演と、自然の権利訴訟の弁護団の丸山明子弁護士による訴訟の現状と解説があり、JELFの弁護士さんたちと意見交換を行いました。その後、祝島に渡り、夕食後にも懇談、地元の方も加わって交流を深めました。

翌日は島内見学。祝島の練り塀や石垣、神社、神舞の行事に使われる蓙船などの文化遺産を教育委員会の橋部氏の案内で巡りました。昼食後、フェリーで長島の四代港に上陸、海の生き物を守る会の途中参加者も合流して、原発建設予定地の横に立てられているログハウス「島民集いの家」に向かいました。すぐに田ノ浦の海に出かけて、スギモクなどの海藻類や貝類などの観察をしながら、弁護士さん達と田ノ浦の澄んだ海で、海水浴。小屋に戻り夕食のバーベキューを楽しんだ後、再び険しい山道を下り、夕日の沈む田ノ浦海岸で、祝島の方向に沈む見事な日没と夕焼け雲を堪能しました(写真 左が祝島)。

20130719上関祝島_アカテガニ放仔観察2

20130719上関祝島_アカテガニ放仔観察2

やがて満潮になるにつれて、雌のアカテガニが丘からぞろぞろと浜辺に集結し始める。

祝島小学校の3人の生徒のうちの2人も観察に参加。全員が固唾をのんで見守る中、アカテガニやクロベンケイの雌が水際まで下りてきて、波が寄せたときに合わせて体をぶるぶると震わせ、お腹に抱えてきた子供(ゾエア幼生)を海に放つのを目の当たりに観察することができました。

毎年行われているアカテガニたちの放仔行動ですが、われわれが予定していたこの日に、本当にやって来てくれるか少々心配しながら満潮時を待っていたので、たくさんのアカテガニが波打ち際に勢揃いしているのを見て感激し、またホッとしたことです。アカテガニらの放仔行動については、カメラマンの板橋さんによる撮影も行われました。

20130719上関祝島_アカテガニ放仔観察3

20130719上関祝島_アカテガニ放仔観察3

翌朝は朝食後、上関の自然を守る会の船「きぼう」ともう一隻で海上からスナメリを探しながら、田ノ浦の原発建設予定地の周辺を視察しました。(写真左)

スナメリは2ヶ所で姿を現しましたが、どちらも一瞬だったため、見た人は2-3名のみ。

あきらめて室津港から柳井港までの定期船に乗りましたが、この航路で、スナメリが出現! みんな大喜び。

あらためてこの海を守りたいと参加者一同、感じたところです。

祝島小学校児童 津野理奏さん(4年)と蛭子和馬くん(5年)の観察記録
“母親は卵を放すとき少しさみしいのかな”

20130719上関祝島_アカテガニ放仔観察4

20130719上関祝島_アカテガニ放仔観察4

20130719上関祝島_アカテガニ放仔観察5

20130719上関祝島_アカテガニ放仔観察5

  • 南あわじ市阿万で「歌と講演の会・自然観察会」を開催しました

2013年4月27日~28日 海の歌を歌う 海の生き物に触れる

海の生き物 南あわじ「歌と講演の会」および「自然観察会」は、無事終了しました。天候に恵まれ、現地の方々の指導で、星空観察会もできました。どうもありがとうございました。

江藤ゆう子さん

江藤ゆう子さん

海の生き物とフジツボの魅力 倉谷うららさん

倉谷うららさん

海の生き物を守る会が主催した「海の生き物講演会」と「自然観察会」は、4月28日(日)午前9時半から快晴の下で行われました。

「春の海に歌う 海の生き物に親しむ」と題して、兵庫県南あわじ市阿万の「国立青少年交流の家」の音楽室で「歌と講演の会」を、京都在住の歌手、江藤ゆう子さんの司会で、以下のように行いました。

参加者は17名。7歳から70歳まで、幅広い老若男女が集まり、海の歌を聴き、歌い、江藤さんの素敵なオリジナル曲も聴かせていただきました。

また、瀬戸内海の海の生き物の危機的な状況を学び、フジツボという生き物の知られざる魅力を学びました。フジツボファンが増えたことは確実でしょう。

  1. 「瀬戸内海・淡路島の海と生き物たち」向井 宏(海の生き物を守る会代表、京大特任教授)
  2. 「春の海に歌う」江藤ゆう子さん(歌手)
  3. 「海の生き物とフジツボの魅力」倉谷うららさん(海洋生物研究家)
20130428淡路島_観察会1

20130428淡路島_観察会1

20130428淡路島_観察会2

20130428淡路島_観察会2

20130428淡路島_観察会3

20130428淡路島_観察会3

昼食後、全員ですぐ前の海岸「吹上の浜」に出て、浜の横にある小さなポケットビーチの前の平磯で、海の生き物の観察会を行いました。

海の生き物を見たり触ったりすることが初めての子供たちがほとんどで、最初は恐る恐る触っていた子供たちも、やがて平気でアメフラシにも触れるようになったようです。

観察会では、絶滅危惧種になっているイタボガキを始め、ムラサキウニ、バフンウニ、クモヒトデ類、ヒザラガイ、カサガイ類、アメフラシ、マダコ、ヒライソガニ、ヒラムシなどの磯の動物と、ワカメ、ヒジキなどの海藻が見られ、みんな夢中になってのぞき込んでいました。

1時間程度の短い観察会でしたが、海と海の生き物に初めて触れた子供も大人も、きっと海に関心を持ってもらえたと思います。

■海の生き物を守る講演会 盛況のうちに終了

2013年2月9日(土) 13:30~16:30   浅草の台東区民会館9F特別会議室(大)

海の生き物を守る講演会「海と共に生きる~日本の海岸は今~」を開催した。日本自然保護協会との共催。参加者は約100名。定員は80名だったので、立ち見が出るほどの盛況だった。

プログラムは以下の通り。

  • 「ハチの干潟の保全と行政」(岡田和樹・ハチの干潟を守る会)
  • 「巨大防潮堤計画と住民の意思」(畠山信・NPO法人森は海の恋人副理事長)
  • 「ジュゴンの海の護岸建設」(安部真理子・NACS-J)
  • 「なぜ日本の海はコンクリート化されたか?」(向井宏・海の生き物を守る会代表)

講演会終了後、海の生き物を守る会総会を開催しました。

■祝島・長島での観察会終了

2012年5月6日 10:00~16:00  山口県上関町祝島

2012年5月6日(日)、山口県上関町の祝島と長島での観察会は、好天の中、長島の自然を守る会との共催で開催されました。参加者は、21名。京都、大阪、奈良、広島など遠くから多くの方が参加してくださいました。

ただ、残念ながら当日は風が強く、船酔いをする人も何人かでる荒天で、田ノ浦へ上陸して観察する機会は訪れませんでした。その代わり、高嶋美登里さんと向井 宏の講演をじっくり聞き、祝島の塗り塀の小路を歩いて、楽しみました。

参加者は祝島が初めての方も多く、映画「ミツバチの羽音・・」や「祝の島」で見た祝島の雰囲気を十分味わって帰りました。おおむね好評だったようです。

■嘉陽海岸砂浜調査を実施

2012年2月11日(土) 14:00-17:00  沖縄県名護市嘉陽海岸

沖縄県嘉陽海岸砂浜調査20120211

沖縄県嘉陽海岸砂浜調査20120211

沖縄県嘉陽海岸砂浜調査20120211

沖縄県嘉陽海岸砂浜調査20120211

ジュゴンが来るところとして有名な沖縄県名護市嘉陽海岸で砂浜海岸生物調査を、日本自然保護協会と北限のジュゴンを見守る会調査チーム・ザンとの共催で行いました。

小雨の降るあいにくの天候で、参加者は10名程度。しかし、沖縄タイムズ、琉球新報、HBCテレビなど報道陣も取材に訪れました。

調査は、護岸計画のある北川の浜と前浜の2ヶ所。調査後、みんなで同定作業を行いました。終了後、向井代表がこれまでのジュゴン研究について講演し、みんなでジュゴンの保護について話し合いました。

夜は、名護市街で懇親会。楽しく飲み、食べました。参加者のみなさん、ご苦労様でした。

■砂浜海岸生物調査リーダー研修会、無事終了

2012年1月21日(土) 9:00~15:00  上総一宮公民館+太東海岸

千葉20120121砂浜海岸生物調査

千葉20120121砂浜海岸生物調査

NPO法人「OWS]と共催で開催した砂浜海岸生物調査リーダー研修会は、前日からの雪と雨にもかかわらず、遠く仙台からの参加者も含めて、参加予定者9名全員が揃って、開催されました。

当日は、雨模様でしたが、9時から一宮公民館で、代表の向井 宏がガイダンスを行ったあと、全員で九十九里浜の一宮海水浴場の海岸に出ましたが、風と波が強く、秋山先生の解説を聞いた後、太東崎の太東海岸へ移動して、砂浜海岸生物調査を実際に経験しました。終了後、小雨も降ってきたため、公民館に移動し、同定のやり方を学びました。

研修が終わって、秋山先生の自宅工房を見学。みなさん、驚きの表情でした。

かくて、研修会は無事終了。今回の研修生から、今後、砂浜海岸生物調査を継続していただける人が出てくることを期待します。

■第1回海の生き物を守る講演会・観察会(南紀白浜)

6月26日(土) 9:30~13:00  和歌山県白浜町瀬戸 京都大学臨海実験所講義室

今年(2010)度第1回目の「海の生き物を守る会」講演会および観察会を、6月26日(土)に和歌山県白浜町で実施しました。

講師の倉谷うららさんが「ダーウインが愛したフジツボ」と題して、2時間近く、彼女自身が愛してやまないフジツボ類について、熱く語りました。参加者は、遠く横浜や京都、下関からの人たちも含めて18名でした。

講演会の後、予定していた海の生き物観察会は、参加者が講演会で話されたフジツボ類を観察しようと意気込んでいましたが、残念ながら強い雨に祟られたため、白浜水族館で開催中の内海富士夫博士生誕100周年記念特別展を久保田信京大准教授の説明で熱心に見て回りました。

また、雨にもかかわらず2名が海岸に観察に出かけ、フジツボ類の採集を行いました。カイメンフジツボやケハダエボシガイなどの普段目に付かないフジツボの仲間が採集されました。観察会の参加者は約10名でした。

■フィリピン・ミンダナオ島のジュゴン・スタディツアーを実施

2010.4.14~18   フィリピン・ミンダナオ島南ダバオ州

フィリピン20100414ジュゴンスタディツアー

フィリピン20100414ジュゴンスタディツアー

フィリピン・ミンダナオ島のジュゴン・スタディツアーを実施しました。

参加者は日本人1名、フィリピン人2名でした。海の生き物を守る会から向井が参加、助手のフィリピン人1名が調査を行い、参加者たちがいっしょに調査に協力しました。

ジュゴンは残念ながら今回も観察できませんでした。確実にジュゴンの出現が減少しているようです。

調査は、ジュゴンの観察に1日半のうち4時間程度。潜水してジュゴンの食べ跡の観察と餌の海草の現存量調査を行い、ボートで沿岸を約3kmほど移動しながら海洋観測。あと半日で、クラマン川を遡って、中流域から河口部までの水質調査を行いました。調査結果は、これから整理して、おいおい発表します。

スタディツアーのあと、向井代表と助手はミンダナオ島のイリガン州に向かい、イリガン州の河川と沿岸の視察を行った。

■砂浜海岸生物調査の研修会を行いました。

2009年11月28日 10時~15時  三浦海岸佐島マリーナ先の天神島自然教育園

NPO法人「OWS]と共催で、砂浜海岸生物調査の研修会を行いました。

当日は小春日和の快晴。講師は、南三陸町自然活用センター長の横浜康継さんと当会代表の向井。参加研修生は14名。みなさん熱心に取り組み、砂浜でお弁当を広げることも含めて、5時間の研修を終えました。遠くは京都から参加された方もいました。

来年もまた開催を考えていますが、関東以外でもやりたいと思います。

■民主党新政権に海洋環境の保全を訴えました

9月14日、鳩山政権ができる2日前、海洋ネットに参画している多くの市民団体の人々といっしょに、民主党の政策に海洋環境の保全に関する施策を取り入れるように、要望書を提出しました。

■小湊(千葉県)の観察会・講演会

7月4日 9時~14時  千葉大学小湊実験場

7月4日に千葉県外房の小湊で、海の生き物講演会と磯の生物観察会を行いました。

雨模様で風も強い天候のせいか、参加者も予想よりも少ないイベントでした。昨年も千葉県銚子での観察会には、雨に泣かされました。しかし、参加者は海に潜ってウミウシ類や多くの海藻を観察しました。

講演会:演題「温暖化と生物相の変化」講師 久保田信(京都大学准教授)
観察会:指導 平野弥生(千葉大学)、向井宏(京都大学)

■海洋シンポジウム「海洋環境の保全~海洋生物とその環境保護・保全の政策化をめざして~」

2009年3月28日(土) 13:30-16:30  弘済会館きくの間(東京)

海洋環境政策ネットワークと共催で、開催しました。後援は、日立環境財団とセブン-イレブンみどりの基金。

基調報告:勝川俊雄「日本の水産行政の問題点と方向性」

問題提起:
「日本における海洋保護区」環境省
「持続的利用のための海洋保護区はどうあるべきか」向井 宏
「海洋保護区の設置と制度的課題」清野聡子
「海洋保護・保全法の提案」海洋環境政策ネットワーク(小林幸治)
「知床と北方四島の事例紹介」大泰司紀之(北の海の動物センター)

パネルディスカッション:司会 伊沢あらた

参加者数:約50名

■第4回観察会および講演会

2008年11月15日(土) 10:00~15:00  和歌山県白浜町瀬戸の番所崎海岸

第4回の観察会と講演会を、和歌山県白浜町瀬戸の海岸と京都大学瀬戸臨海実験所を会場に行われました。

当日は暑いほどの陽気に恵まれました。午前中は、水族館も無料で見学させてもらい、海岸の生きものも観察しました。

参加者は約20名でした。

指導者は、久保田信(京都大学瀬戸臨海実験所)
講演者は、大久保奈弥(京都大学)と向井 宏(海の生きものを守る会)。

この観察会と講演会は、セブン-イレブン緑の基金の助成で行われました。

■第3回自然観察会

2008年8月2日(土) 10:30~夜  山口県上関町長島の田ノ浦

山口県上関町長島の田ノ浦で、自然観察会を行いました。

また、夜には、アカテガニが海に降りて子供を放出するところを、参加者全員で観察しました。感動!

指導者:池澤広美(茨城県自然博物館学芸員)

この活動の様子は「うみひるも23号」に書かれています。この観察会は、セブン-イレブン緑の基金の助成で行われました。

■第2回自然観察会

2008年6月21日(土) 10:00~14:00  千葉県銚子市外川海岸

千葉県銚子市外川海岸で、海岸生物の観察会を行いました。

当日は雨でしたが、それでも多くの市民が参加しました。

指導:平野義明・平野弥生・羽賀秀樹・向井 宏

この観察会は、セブン-イレブン緑の基金の助成で行われました。

■野付半島の自然を守るワークショップ~防災と環境の両立を目指して~

2008年8月27日(水)~28日(木)   北海道別海町オダイトウ 東公民館

蝕まれている野付半島の自然を守るために、防災と環境の両立を目指したワークショップが日立環境財団の助成で行われました。

<話題提供者>
加藤 真 (京大大学院教授)
川辺みどり(東京海洋大学准教授)
樋口広芳 (東大大学院教授)
宇多高明 (土木研究センター理事)
鷲谷いづみ(東大大学院教授)
森田正治 (野付半島ネイチャーセンター)
向井 宏 (海の生き物を守る会代表)

詳細は「うみひるも24号」をご覧ください。

■第1回海岸自然観察会および海藻おしば講習会

2008年5月18日 8:30~11:30  厚岸町アイカップ海岸と厚岸水産高校

指導者:向井 宏(自然観察会)
野田三千代(海藻おしば講習会)

講演会に続いて厚岸町アイカップ海岸で自然観察会を行い、その後、採集した海藻などを使って、海藻おしば協会会長の野田三千代さんの指導の下、海藻おしばを作ってアート作成を楽しみました。

海藻は地球の環境をつくってきた海の生き物です。

その海藻と親しみ、海や地球の環境を考えるきっかけにしたいと、同趣旨でこの活動を行っている野田さんをお招きしました。

この講習会もセブン-イレブンみどりの基金の助成を受けて行われました。

■第1回海の生き物講演会

2008年5月17日 13:00~15:30  北海道厚岸町厚岸情報館2F

<演題および講師>
「大黒島のアザラシは今・・・」小林万里(東京農業大学講師)
「日本の海岸を守るために」向井 宏(海の生き物を守る会代表)

セブン-イレブンみどりの基金の助成を得て行われる第1回の講演会は、道東の会員植井真さんの努力で盛況のうちに終了しました。

参加者約30名。

アザラシの講演には多くの質問や意見が活発に出されました。

■砂浜海岸生物調査第1回現地調査および説明講習会

神奈川20080510砂浜海岸生物調査

神奈川20080510砂浜海岸生物調査

神奈川20080510砂浜海岸生物調査

神奈川20080510砂浜海岸生物調査

<OWSと共催>

天候は小雨でしたが、16名の参加者と本会のスタッフ4名、OWSのスタッフ4名の合計24名は、向井代表の説明のあとそれぞれ二人一組で初めての砂浜海岸生物調査を行い、終わったあと反省点を指摘して今後の改良点とし、再びこのような説明講習会を行うことを約束して散会しました。