砂浜海岸生物調査

全国砂浜海岸生物調査にご協力ください

砂浜海岸生物調査

砂浜海岸生物調査より

本会では、全国の会員や有志のご協力で「砂浜海岸生物調査」を行っています。

日本の砂浜とその生物の現状を調べ、生き物に住みよい自然環境を守るために全国から寄せられたデータを基にして、海岸保全基本法に基づく各都道府県の海岸保全基本計画とそれに伴う海岸保全工事に生き物の保護・保全を働きかけたいと思います。

ぜひみなさまの積極的なご協力をお願いいたします。

砂浜海岸生物調査マニュアル

趣 旨:

日本の浅海の生き物について全国的なレベルでの調査は、環境省が「緑の国勢調査」として行っている海洋生物調査くらいであった。最近、サンゴ礁、藻場、干潟については「モニタリング1000」の一環としてそれぞれ今後100年間のモニタリングを予定している。しかし、砂浜については、ウミガメの上陸に関するもの以外、まだ全国的な調査は行われていない。
一方、日本全国の砂浜で砂浜の後退現象が著しい。また、東日本大震災と大津波、東海・南海大地震の予想などから、巨大な防潮堤建設計画が進められている。その中では、防災の観点のみから議論されているが、砂浜に棲む生物からの観点は忘れ去られている。
「海の生き物を守る会」では、砂浜の環境と生きものを守るために、砂浜の全国調査を行っている。全国の会員および一般市民による砂浜生物調査を以下の方法で行うことを呼びかけます。

準備するもの:

必ず必要なもの:調査用紙、鉛筆、カメラ、ビニール袋、時計
あれば便利なもの:メートル縄、GPS、図鑑類

調査方法:

調査はとくに日時を決めずに、海岸に出かけることがあったときに行うか、もしくは会の観察会などを利用して参加者全員で行う。干潮時が好ましいが、最干潮時である必要は無い。

  1. 調査を行う砂浜を選び、汀線に沿って一定距離を歩いてその間に砂浜に棲む生物と砂浜に打ち上げられている生き物の痕跡(死骸・打ち上げ海藻など)を記録する。一定距離はおおよそ100m程度とするが、生き物が多い場合は30m程度でもかまわない。状況に応じて行うが、かならず距離は測っておくこと。距離を測るメジャーを持っていない場合は歩いて歩数を測っておき、後に歩幅を計測して換算することができるようにしておく。 ただし、調査しながら歩幅を一定にするのは難しいので、最初に歩いて例えば50mの調査ラインを決め、出発点とゴール点に竿や石を立てて目印にしておくと良い。
  2. 最初に海岸の名前、所在地、調査者、日時、天候、風力、波、底質、海岸の人工化について気がついたことを書く。とくに砂浜だけではなく、周辺の様子や利用状況なども記載しておく。GPSがある場合は、緯度・経度についても記載しておく。
  3. 汀線に沿って一定距離を歩きながら生きているものを探してその名前と多寡を記録する。最初、鳥類など大型のものを観察し記録。さらにカニ類など表面を速く移動しているものがいないかどうかチェックする。生きているものでは、とくに、打ち上げている海藻類の下にハマトビムシなどがいないかどうかを確認する。また、汀線付近では、フジノハナガイのような動きのある二枚貝を探す。
  4. さらに、満潮線付近を歩いて生き物を探し、打ち上がっている生き物について名前と多さを調査する。多さは、1個体のみの場合は(有)、2~数個体は(少)、それ以上は(多)と3段階で記録する。一度調査をしたら、今度は汀線付近を元のところまで歩き返して確認をした方がよりよい結果をもたらす。時間がない場合は一回でもかまわない。満潮線より陸側に植生帯(海浜性植物群落)がある場合はとくに植生帯の中も注意して調査し、海浜植物を記録する。
  5. 動物や植物で同定ができなかったものについては、できる限り標本を採集し、ビニール袋に入れて持ち帰る。普通種と思うものでも、できる限り標本を持ち帰って、あらためて同定を試みることを勧める。また、大きすぎたりして持ち帰れない場合は必ず写真を撮っておく。
  6. 砂浜の右方向と左方向を見た写真を撮っておく。また、砂浜の全体(汀線からもっとも陸側まで)が入った写真(人工構築物や後背地の植生などがわかるような写真)や生き物の拡大写真をなるべく多く撮っておくこと。
注意点:
  1. 調査は干潮時が適当であるが、それにこだわる必要はない。汀線を歩いて棲んでいるもの、打ち上げられている死骸などの名前を記録する。生き物の死骸はなるべく新鮮なものを対象とする。二枚貝は二枚の殻が残っているもの、巻貝なら摩耗していないものを主な対象とするが、やや摩耗しているものでも重要と思う場合は同定、採集、記録しておく。
  2. 観察し記録する生き物は、海岸に生息する海鳥類、海草・海藻類、海産無脊椎動物(カニ、エビ、貝、ヒトデ、ウニ、ナマコ、コケムシ、ゴカイ、ユムシ、サンゴ、クラゲ、カイメンなど)をすべて含む。海岸に特有の昆虫類や多足類、カニムシ類などもわかれば記載しておく。
  3. 種の同定ができない場合などは標本を持ち帰って専門家などに見てもらう必要がある。見てもらう人が分からない場合は事務局まで問い合わせるか、事務局に送付する。
  4. 調査は砂浜海岸について行い、調査線上に岩やコンクリートブロックなどがある場合はそこを避け、それに付随する生物は観察対象に含めない。しかし、参考として記載しておくことを勧める。
  5. 結果は、年月日と時刻、海岸の場所と名前、底質・天候・風力、観察距離、観察できた種とその多寡を書いて表にする。写真はデジタル写真を調査記録用紙(wordファイル)の2ページ目以降に貼り付け、簡単な写真説明を付ける。記録用紙のファイルを当会の事務局に送り事務局で全国の結果をまとめる。
調査報告送付先:

〒606-8413 京都府京都市左京区浄土寺下馬場町69 向井 宏 気付 「海の生き物を守る会」
E-mail送付先:hiromuk@mtf.biglobe.ne.jp 問い合わせ先:TEL & FAX:075-741-6281

海岸の状態分類表
海岸の状態分類表

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砂浜海岸生物調査記録用紙

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